原産国/地方:スペイン/カタルーニャ
タイプ:スティル白ワイン
品種:チャレッロ100%(手摘み/ 30 ~ 60年)
土壌:粘土石灰(海洋生物化石混じり)
薬剤師から、自然と向き合うワイン造りへ。
家族が受け継いできた小さな畑を舞台に、
ブドウと土地の個性をできる限りそのままワインへ映し出す造り手、アモス・バニェレス。
カタルーニャのペネデスで生まれ育ったアモスは、もともと薬剤師として働いていました。
しかし、家族とともに長い船旅に出たことをきっかけに自然の中で暮らすことへの思いを強くし、人生の方向を大きく変えていきます。
帰国後、タラゴナでブドウ栽培と醸造を学び、2011年家族が代々所有してきた畑を引き継いで自身のワイン造りをスタートさせます。
最初のヴィンテージはわずか2つの区画から造った2種類、各1,000本ほどという小さなものでした。
現在では約5.5haの畑を手掛けるまでに広がり、畑の仕事は有機農法を基本とし細部に至るまで丁寧な手作業で行われています。
ブドウを大量に生産するのではなく、一株一株と向き合いその土地が持つ力を引き出すことを大切にしており、粘土石灰質や砂質を含む土壌で1haあたり約4,000kgほどと収量はこの地域としては非常に抑えて生産されています。
アモスは、畑は単なる「ブドウを育てる場所」ではなく、それぞれの区画には固有の個性があり、造り手の仕事とはその個性を無理に変えることなく、ワインとして表現できるところまで導いてあげることと考えています。
その考え方は醸造でも一貫しています。
野生酵母による自然発酵を基本とし、必要以上の温度管理や添加物に頼らず、ワインを濾過・清澄せずに仕上げるなど、できるだけ人為的な介入を抑えています。
畑ではビオロジックを基本に、ビオディナミや再生型農業の考え方も取り入れながら、土壌とブドウの樹そのものが健全であることを何より重視しています。
興味深いのは、アモスのワインが決して「自然派らしい」という一言だけでは語れないことです。
薬剤師として培った緻密さと分析力、そして自然の声に耳を澄ませる感性。
その一見対照的な二つの要素が、アモスのワインには共存しています。
華美な樽香や過度な抽出でワインを飾るのではなく、ブドウそのものの果実味、酸、ミネラル、そして土地のニュアンスをまっすぐに伝える。
透明感がありながら奥行きもあり、飲み進めるほどにペネデスという土地の魅力が見えてくるのが、アモスのワインの大きな魅力の一つとも言えます。
Alex Ruizとの「SINプロジェクト」
アモスを語るうえでもう一つ欠かせないのが、
カタルーニャの生産者Alex Ruiz(アレックス・ルイス)との共同プロジェクト「SIN」です。
代々ペネデスでカヴァを造ってきたアレックスの家族は、この地域に広大なブドウ畑を所有しています。
アレックス自身も、家族の伝統を受け継ぎながら、オーガニック栽培のブドウを使い、よりクラフト感のあるワインを造りたいという思いを抱いていました。
一方、アモスは自身の畑でできるだけ手を加えず、土地と品種の個性を表現するワインを追求していました。
そんな二人の思いが重なり、2010年代半ばには「Els Vinyerons(エルス・ヴィニェロンス)」として共同でワイン造りを開始。
そして2018年からスタートしたのが「SINプロジェクト」です。
「SIN」とはスペイン語で「~なし」「without」を意味する言葉。
化学肥料なし。
余計な添加物なし。
必要以上の人為的介入なし。
そして、品種を混ぜずそれぞれのブドウ品種の個性をそのまま表現する。
そんな二人の哲学をその名前そのものに込めています。
SINのブドウはアレックスの所有するオーガニック栽培の畑から収穫され、アモスが醸造を担当します。
カタルーニャを代表するチャレッロや、ウイ・ダ・リェブレ(テンプラニーリョ)など、その土地に根付いた品種をシンプルに仕立てています。
特にチャレッロはペネデスを代表する品種で、地中海の陽光を受けながら海からの風や標高による昼夜の温度差によって、爽やかな酸と塩味を帯びたミネラルをブドウに与えます。
SINのワインはいわゆる「自然派ワインだから個性的」という方向ではなく、むしろ非常に素直な味わいです。
瑞々しい果実味、品種本来の香り、軽やかな酸、そしてペネデスらしいミネラル感。
飲み手に難しい知識を要求するのではなく、グラスの中にあるブドウそのものを楽しませてくれるような、親しみやすさを感じます。
だからこそ、ナチュラルワインを初めて飲む方にも、長年ナチュラルワインを飲み続けてきた方にもおすすめできる存在です。
「何もしない」のではなく、「必要以上に何もしない」
アモス・バニェレスのワインを理解するうえで大切なのは、
「自然な造り=何もしない」ということではありません。
むしろアモスは、畑では非常に細かな仕事をしています。
一株ごとの状態を観察し、剪定や葉の管理を行い、収穫量を抑え、ブドウが健全に成熟できる環境をつくる。そして醸造では、十分に健全なブドウを得たからこそ余計な操作を必要としない。
つまり「醸造で何もしないために、畑ではできる限りの仕事をする」。
そこにアモス・バニェレスのワイン造りの本質があります。
ペネデスという土地、そこに根付く品種、そしてその年の気候。
それらを造り手のスタイルで覆い隠すのではなく、その個性がワインの中に現れるように寄り添う。
アモス・バニェレスのワインは、そんな静かでありながら強い哲学から生まれています。
「SIN チャレッロ」
ペネデスを代表するチャレッロを100%使用。
オーガニックで育てたブドウを野生酵母で発酵させ、できるだけ手を加えずに仕上げた一本。
柑橘や青リンゴを思わせる瑞々しい果実味に、チャレッロらしい爽やかな酸とほのかな苦み、石灰質土壌由来のようなミネラル感が重なります。
自然派ワインらしい野趣を前面に出すのではなく、非常にクリーンで素直。
冷やして飲めば軽快に、少し温度を上げれば果実の奥行きも楽しめる、ナチュラルワインの入口としてもおすすめしたい一本です
呼称:D.O.Penedès ペネデス
栽培:ビオロジック
酵母:自然酵母
100hlのステンレスタンクで6 ヶ月間発酵・熟成 無濾過・無清澄
So2無添加 トータル:31mg/L



